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【リフォーム実例・前編】築40年の日本家屋を屋根から軽く強く。I様邸大規模リフォーム

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【リフォーム実例・前編】築40年の日本家屋を屋根から軽く強く。I様邸大規模リフォーム

床にビー玉を置いたら、コロコロと転がっていった。……古いお住まいで、そんな経験はありませんか? 「家も古いし、こんなものかな」と見過ごしてしまいがちな床の傾き。でも実はそれ、建物が発している大切なサインかもしれません。しかもその原因が、床でも基礎でもなく、意外な場所に潜んでいるとしたら……?

床の傾きから始まったリフォーム実例

今回は、まさに「床の傾き」から始まったリフォームの実例をご紹介します。舞台は、昔ながらの立派な日本家屋・I様邸。屋根の葺き替えから耐震補強、内装の一新まで、工事の種類が多岐にわたる大規模リフォームです。見どころが多いので、前編・後編の2回に分けてたっぷりお届けします。 前編は、このリフォームの出発点となった「屋根」と「構造」のお話です。

きっかけは「床の傾き」

I様邸は、先代が建てられた築40年ほどの大きなお住まい。どっしりとした日本瓦の屋根が印象的な、昔ながらの趣あるお宅です。太い柱と梁でゆったりと構えた佇まいは、まさに「昔ながらの日本の家」。今ではなかなか建てられない、風格のある建物です。 実はI様、10年ほど前から気にされていたことがありました。それが「床の傾き」。室内で明らかに傾きを感じるだけでなく、外から見ても建物の一部がグッと下がっているのがわかるほどでした。 床の傾きと聞くと、多くの方がまず「地盤沈下かな?」「基礎が悪いのかな?」と思われるのではないでしょうか。ところが調べてみると、I様邸の基礎そのものは沈んでいませんでした。 では、なぜ床が傾いたのか。 鍵は「窓の大きさ」と「屋根の重さ」にありました。

大きな窓と重い瓦。昔の家ならではの弱点

I様邸が建てられた当時は、日の光をたっぷり採り込むため、南側に大きな窓を連ねるのが主流でした。縁側越しに庭を眺め、冬はぽかぽかと日向ぼっこ。明るく開放的で、日本の暮らしによく似合う間取りです。 ただ、構造の面から見ると、話は変わってきます。南面はほとんどが窓。つまり、建物を支える壁が極端に少ない状態です。 そこへ、重い日本瓦の屋根。本来なら壁全体で分散して受けるはずの屋根の荷重が、数少ない柱に集中してしまいます。I様邸では、長い年月をかけて柱にかかり続けた荷重で土台が沈み込み、床が傾いてしまった、というわけです。 基礎は健全なのに、床が傾く。原因は足元ではなく、頭の上にあったのです。建物というのは、屋根から基礎まで、すべてがつながってひとつの構造体なのだということがよくわかる事例です。  

「屋根の重さ」は、地震の揺れにも直結します

屋根の重さが関わってくるのは、床の傾きだけではありません。実は、地震の揺れ方にも大きく影響します。 建物は、重心が高いほど大きく揺れます。頭に重い荷物を載せて歩くとふらつくのと同じで、屋根が重い家は地震のときに建物の上部が大きく振られ、柱や壁への負担が増してしまうのです。過去の大きな地震でも、重い瓦屋根の古い住宅に被害が集中したことが報告されています。 逆に言えば、屋根を軽くすることは、それだけで耐震性を高める有効な手段。「屋根の軽量化は耐震リフォームの第一歩」と言われるのは、このためです。 I様も、最初のご要望は「屋根を軽くしたい」ということでした。そこから、床の傾きの修正、耐震補強、そして内装の一新へと、リフォームの計画が広がっていきました。

解決策その1:日本瓦から軽量屋根材「ルーガ」へ

今回のリフォームでは、まず原因そのものにアプローチしました。ひとつめが、屋根の軽量化です。 重い日本瓦を下ろし、軽量屋根材「ルーガ」へ葺き替えました。ルーガは、瓦の美しい重厚感はそのままに、一般的な陶器瓦の約半分という軽さを実現した屋根材。樹脂繊維を混ぜ込んだ素材で粘り強く、割れにくいのも特長です。 「瓦の家の趣は残したい。でも屋根は軽くしたい」——そんな日本家屋のリフォームには、まさにうってつけの選択肢です。葺き替え後の外観は、どっしりとした風格はそのままに、建物への負担だけがグッと軽くなりました。

解決策その2:窓を小さくして、耐力壁を増やす

ふたつめは、建物を支える「壁」を増やすことです。 地震や屋根の重さに抵抗して建物を支える壁のことを「耐力壁」と呼びます。現在の家づくりでは、この耐力壁をバランスよく配置することが耐震設計の基本。窓などの開口部が大きいほど壁は減るため、明るさと強さのバランスをどう取るかが、設計者の腕の見せどころです。 I様邸では、大きすぎた南側の窓をひとまわり小さくし、その分の壁を新設。さらにリビングまわりにも壁をつくり、屋根の荷重をしっかり受け止められる構造に変えました。窓そのものも新しく交換したので、断熱性もアップ。採光を確保しながら、構造はしっかり強く。昔の家の弱点を、現代の設計で解消しました。

解決策その3:傾いた床を、すべて修正

そして、長年の懸案だった床の傾きは、すべて修正しました。屋根が軽くなり、壁が増え、荷重の流れが整ったからこそ、直した床がまた傾いてしまう心配もありません。 屋根・壁・床、三位一体で建物を立て直す。まさに「耐震リフォーム」と呼ぶにふさわしい内容です。

外壁塗装もまとめて。足場を活かす賢い工事計画

今回は、外壁の塗り替えも同時に行いました。 実はこれ、とても合理的な工事計画なんです。屋根の葺き替えには足場が欠かせませんが、足場の設置には相応の費用がかかります。せっかく足場を組むなら、外壁塗装や窓の交換など、高所の工事をまとめてやってしまうのが断然おトク。足場代を一度で済ませられるうえ、工事のたびに生活が中断されることもありません。

屋根、外壁、窓、構造、床——。工事の種類が多く、互いに関連し合う今回のリフォームは、工事期間約2ヶ月に及ぶ大仕事となりました。それぞれの工事の順序を組み立て、職人さんたちの手配を調整しながら、一歩ずつ建物がよみがえっていきました。

リフォームのポイント(前編)

ここで、今回のリフォームのポイントを振り返ってみましょう。
  1. 床の傾きは、構造からのサイン。原因は床下とは限らないため、気になったら早めに専門家に相談を
  2. 重い瓦屋根は、軽量屋根材への葺き替えで建物の負担を減らし、耐震性を大きく向上できる
  3. 窓の縮小+耐力壁の増設は、開口部の大きい昔の家の耐震リフォームの定番手法
  4. 屋根・外壁・窓など足場が必要な工事はまとめて行うと、足場代も工期もムダがない

後編もお楽しみに!

上記のポイントは、皆さんが実際にリフォームを計画する際にも大いに参考になると思いますので、忘れずに頭の中に入れておきましょう。さて、後編では、がらりと生まれ変わった室内をご紹介します。一段下がったL字型キッチンのあったLDKが、暮らし方の変化に合わせてどう変わったのか。補助金活用のお話も登場しますので、どうぞお楽しみに。 住まいの傾きや屋根の重さが気になる方、耐震リフォームをお考えの方は、ぜひお気軽に幹工務店までご相談ください。

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