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2023.07.04

「お家でお店を開きたい!」を叶える店舗併用住宅のポイント

幹工務店では、一般住宅以外に店舗や店舗併用住宅の新築・リフォームも承っています。これまでにも美容院や整体サロン、居酒屋、ペットホテル、スポーツクラブなど、さまざまな店舗づくりに携わってきました。なかでも一番多いのは、美容院です。美容院は、奥様が自宅に併設することを希望されるケースが多いため、美容室の店舗併用住宅の新築も何度か手掛けてきました。

住居の一部に店舗を構える「店舗併用住宅」は、美容院以外にもネイルサロンやマッサージサロン、雑貨店などさまざまな店舗の併設が考えられますが、奥様が家事や子育てをしながら仕事をするのにはベストな環境といえるでしょう。

そこで今回は、店舗併用住宅をプランする際のポイントをご紹介します。

店舗併用住宅のポイント①駐車場の動線

店舗併用住宅で、まず気をつけなければならないことが、車の動線です。来客用の駐車場は店舗の前に配置するのが鉄則。そうでないと、店に入るまでの動線が長くなり、お客様に負担をかけてしまいます。その代わり、家族の駐車場は建物の脇に縦列で設けるなど、敷地の配分を工夫して、できるだけ玄関との動線が短くなるように設けましょう。縦列駐車の場合には、奥の車が出入りする度に前の車を移動しなければならないというような不便さは避けるようにプランすることが大事です。

店舗併用住宅のポイント②玄関の配置

店舗の玄関と住居の玄関は、必然的に分ける必要があります。その場合、来店客から家族用の玄関が見えないようにして、生活感を隠すようにすると、お店の雰囲気を壊さずに済みます。

店舗併用住宅のポイント③プライバシーの確保

昭和の時代の店舗併用住宅は、店の奥ののれんをくぐるとすぐ先に卓袱台(ちゃぶだい)が置いてあり、家族がそこでお茶を飲んでいる・・・といった間取りがほとんどでした。皆さんもドラマなどでそんなシーンを見かけたことがおありかと思います。こうした間取りは、確かに住居と店舗の行き来がしやすく動線的には便利なものの、家族側にとってはプライバシーを確保できず、来店客側にとっては落ち着きがないといったデメリットがあります。特に美容院のように非日常感を演出しなければならない店舗では、あり得ない設定です。つまり、ご家族側と来店客側、双方のプライバシーの確保を重視することが、こうした店舗併用住宅の第一条件といえます。

例えば、店舗と住居が両方とも1階にある場合には、店舗スペースと居住スペースとの間に収納スペースを設けるなどして、住居スペースの音や人の気配が気にならないように配慮することが大事です。

一方、店舗が1階、住居が2階にある場合には、上階の音が聞こえないように配慮し、店舗の上にはLDKなど、家族がよく使う部屋をできるだけ配置しないようにするといいでしょう。

店舗併用住宅のポイント④仕事と家庭の切り替え

リモートワークの場合でもそうですが、自宅で仕事をするとなったとき、精神面で大切にしたいのが、仕事と家庭のスイッチの切り替えです。それがしっかりできないと、家庭でくつろいでいても仕事のことが気になり、気付かないうちにストレスが溜まってしまうことも。プライバシーの確保にも関わることですが、「ここから先は仕事場」と気持ちを切り替えられるように配置を工夫することも大事です。

例えば、当社のOBのお施主様の店舗併用住宅の場合、建物内にある美容サロンと住宅の境目のドアを開けるとすぐに階段があり、奥様は階段を上り下りする時間に、仕事と家庭の気持ちの切り替えをされているそうです。

店舗併用住宅のポイント⑤店舗の演出

美容院などの店舗は、お客様が美しくなろうと、新しい自分に夢を抱いて訪れる場所。そのため、生活感がなく、店舗のオーナーのセンスが光る素敵な空間演出が必要です。オーナー様は元々店舗のインテリアに対する造詣が深く、デザインにこだわる方が多いので、プランニングの際には、オーナー様のこだわりをいかに忠実にカタチにしていくかを考えながらプランを進めていきます。鏡や家具、照明などは、オーナー様が支給される場合が多く、幹工務店ではその場合にも快くプランや施工に対応させていただいています。

外観についても、店舗のエントランスには塗り壁や無垢材を用いるなど、お店らしいスタイリッシュな演出が必要です。しかし、店舗併用住宅にするだけでも建物の面積が大きくなるので、外観全体に塗り壁を用いたりすると、費用が結構な額になります。その場合は、店舗周りは塗り壁に、それ以外はガルバリウム鋼板の外壁を用いるなどの工夫をして、予算を抑えることが可能です。

店舗併用住宅のポイント⑥店舗の間取りと機能性

例えば、美容院を併設する場合には、カットスペースやシャンプー台、受付、待合スペース、トイレ・手洗い場といったスペースが必要となります。限られた空間内で、どこに何を配置するかを考えて、空間を無駄なく活かすことが重要です。店舗内の作業動線と、お客様の動線も考慮して配置を考える必要があります。オーナー様は、これまでの経験から、自分なりに仕事がしやすい配置や動線をよく心得ているので、当社ではオーナー様のご要望を一番に尊重して間取りを決定していくようにしています。

また、設備面では、照明のスイッチをバックヤードなどに1か所に集中させて設ける「集中スイッチ」を採用することをおすすめします。トイレは例外ですが、照明のスイッチが各所に分散していると使い勝手が悪いだけでなく、店内演出の美観を損ねます。その他、洗髪台などの設備は、十分に空間にゆとりを持たせて設置しましょう。店舗併用住宅は、独立型の店舗ほど広さを確保できない場合が多いですが、例えば洗髪台をリクライニングしたときに、伸ばした足が壁に当たりそうになってしまうのは具合が悪いので、設備周りには空間にゆとりを持たせることが重要です。

このように、幹工務店には、これまで店舗や店舗併用住宅を手掛けた経験とノウハウを活かし、店舗併用住宅に最適なご提案やアドバイスをご提供しています。「将来自分のお店を持ちたい」という夢をお持ちの方は、どうぞお気軽にご相談ください。

文:トータルアドバイザー 仲尾 久造(二級建築士)