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2023.01.17

最近、新築の一戸建ての窓の数が減ってきた?!その原因を解き明かします!

家づくりをご検討中の皆さん、最近の家は窓の数が減ってきていることをご存知ですか?この不思議な現象の原因を解き明かします。

■一戸建ての窓の数が減ってきたのはなぜ?
理由その1 建物の断熱性能

一戸建て住宅の窓が減った原因の1つとして考えられるのが、建物の断熱性能です。室内の熱の約7割は、窓から逃げたり、侵入してくるといわれています。窓が多いとエアコンなどを使っても、なかなか効果を得られず、光熱費がかかりやすい家になってしまいます。つまり、断熱の弱点である窓を減らせば、室内の断熱性が高まり、快適で省エネな暮らしを実現できます。また、熱交換型の第1種換気などを採用しているお宅では、窓を開けて換気をする必要がないので、換気のために窓を設ける必要がなくなります。

理由その2 建築費のコストダウン

最近はコロナ禍やウッドショックの影響で、住宅の建築費用が高騰し続けています。そのため、費用をコストダウンする方策の一つとして窓の数を減らすケースが多いです。窓は、大きな窓で十数万円、小さな窓で数万円かかるため、費用削減を検討する際の候補に上がりやすいのです。加えて、最近はガラスの値段が高騰し、窓が値上がりしていることも影響していると思われます。

理由その3 掃除の手間が省ける(特に水回り)

最近特に顕著なのが、トイレや浴室に窓を設けるお宅が減っていること。アパートにはトイレに窓がない場合が多いので、一戸建てを建てる際にも「トイレには窓がなくても別にいい」という人が増えてきているのです。浴室の場合も同様ですが、浴室に窓があると掃除が大変になるので、無い方が家事ラクになるというメリットもあります。以前は浴室の換気のために窓を設けるお宅が多かったですが、最近は換気扇の性能が良くなったので、湿気対策は換気扇だけで十分です。また、そもそもユニットバス自体、最近はラックやカウンターといったオプションは不要だと考えて、何もつけないシンプルな状態で購入する人が増えているため、窓も「要らないオプション」として捉えられるケースが多いようです。一方、トイレに窓がなくていいとなると、トイレを外壁に面して設けなくてよくなるので、間取りの自由度が高まるというメリットもあります。ただし、配管が長くなるとコストが上がるので、その点は注意しましょう。

理由その4 プライバシーの確保

市街地に家を建てる場合には、周囲の視線を排除してプライバシーを確保するため、道路側に窓を設けないというお宅もあります。窓の面積が多いと、その分屋外から室内が見える機会が増えます。さらに、窓が多いと防犯上も不利になります。空き巣は窓から侵入することが多く、窓を増やすことはそれだけ侵入経路を多くつくることになってしまいます。

■一方、窓が増えた箇所も・・・

建物全体の窓の数は減りつつあるものの、スペース別に見ると、窓が増えた箇所もあります。例えば、最近は洗面スペースと脱衣スペースを分けて設けるケースが多いため、両方に窓を設けるとなると、窓の数が増えることになります。また、コロナ禍の影響で、書斎やロフト、小屋裏のこもり部屋、サンルームなどの個室が増えたので、それぞれのスペースに窓を設けるとなると、トイレや浴室は窓がなくなっても、逆に窓の数が増えることになります。

■それでも、窓はやっぱり欲しい!

このように、窓を減らすと様々なメリットがありますが、そうは言ってもやっぱり窓は欲しいもの。春や秋には窓を開けて外の新鮮な空気を入れたいし、窓による明るさや開放感も捨て難いですよね。最近はサッシの断熱・遮熱性が格段に向上しているので、窓を多く設けたい場合でも、断熱性能を十分に確保できます。採光や開放感のみを求めるのであれば、F I X窓(開閉できない固定窓)を採用するのもいいでしょう。

しかし、窓が多いほど、日当たりも風通しも良くなると思いがちですが、やみくもに増やせばいいというものではありません。どのように光が当たるかきちんと考えて窓を配置しないと、せっかく窓をつけたのに日当たりが思うほどよくなかったり、逆に日当たりが良すぎてまぶしく暑い部屋になってしまう可能性もあります。また、複数の窓が向かい合うように配置しなければ、通風の効果はあまり期待できません。

窓をたくさん設けたい場合も、できるだけ減らしたい場合も、設計次第でお施主様のご要望や予算に合った快適な住まいが可能です。また、窓の選び方のポイントについて以前のブログでもご紹介していますので、そちらもご参考ください。

家づくりQ&A: 窓まわりアイテムの選び方

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文:トータルアドバイザー 佐藤 敬太